からだがよくなって、もう一度働けるようになりました。
私は、また倒れて何にもできなくなったときに、金銭面で苦労するのは嫌だと強く思いました。
友人たちにだって、自分の家族、人生があります。
私に構ってばかりもいられません。
友人たちは気にしないでと言ってくれたけど、そういうわけにはいかない、私は私の力で立ち直りたい、そして、もしまた挫けることがあっても、友人たちの助けは借りたくない。
むしろ、この恩を友人たちに少しでも返したいと強く思ったのです。
そこで、私は、昼間の仕事よりも稼げるけれど、学歴も職歴も不問、私がどんな人間か探られることもない風俗の世界に飛び込むことにしたのです。
―居心地がよかった
水商売の経験はあったし、男性経験も多かったから、風俗の仕事はそこまで抵抗がなく、思ったよりも早く慣れました。
初めて面接に行く電話をしたときは恐ろしかったけど、その後はなんてことありませんでした。
風俗のお仕事をしてみたら、私と似ている女の子がたくさんいました。
似たような家庭環境の子もいたし、家庭は一見恵まれているけれど自分を肯定できずにもがいている子たちがいました。
貧困にあえいでいる子もいました。
私は、自分のような人間は一人ではないのだと、安心しました。
そして、女の子たちの優しさに心が安らぎました。
辛い経験をした人は、人の辛さがわかります。
私の家庭環境を聞いて、「生んでくれた親には感謝しないと」
そんなことを言うような子は一人もいませんでした。
お金が必要だからと割り切って、「人は人、私は私」と自分の目標のために頑張っている子もいました。
「私も頑張ろう」
そう思えました。
―学歴がない、職歴がない。だけど、頑張ればどうにでもなる
風俗のお仕事は、学歴も職歴も関係ありません。
自分が頑張れば、それがそのまま評価されて、お給料に繋がります。
セクハラされたり、すぐに下心で近寄ってくる男の人が多くて、うんざりだった昼職時代。
セクハラされて我慢することも、下心に応じることも、私に何のプラスにもなりませんでした。
それが逆にお金になる、という風俗の仕事は、極端な理屈だけど、私にとってはとても好ましい環境でした。
そうじゃなくても、働く女性はまだまだ生きづらい国です。
女性という性を押し殺して仕事することよりも、女性を全面的に押し出して仕事することは、私にはとっても効率の良いことのように感じたのです。
「努力が足りない。甘えてるだけ」
私のことをそう言う人もいるけれど、果たして私と同じ環境で育ったのでしょうか?
私のように、親に殴られる夢ばかりを見て、毎夜自分の叫びで目が覚める経験をしたのでしょうか?
能力だって、人間だから差があります。
果たして、私が努力したところで、今みたいに貧困にあえぐことのない生活ができたのでしょうか?
私は、自分が大学に行かず、昼職が長続きせず、風俗の仕事をしていたこと、何の後悔もありません。
むしろ、風俗という仕事のおかげで、住む場所も食べるものも着るものも困らず、日本人として求めても当たり前の生活を手に入れることができました。
そして、私は、風俗のお仕事自体が嫌いではないんです。
風俗の仕事をしたことによって出会えた職場のスタッフさん、女の子、お客さんたちに、私は生きる居場所を与えられたのです。
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