『デトロイト ビカムヒューマン』は、フランスのゲーム開発会社「Quantic Dream(クアンティック・ドリーム)」が開発した、インタラクティブドラマ(プレイする映画)と称されるアドベンチャーゲーム。
舞台は2038年のアメリカ、デトロイト。AI技術が飛躍的に発展し、人間と瓜二つのアンドロイドが労働力として広く普及した社会を描いている。
しかし、ある日を境に、アンドロイドたちがまるで人間のように感情を持ち、自由を求める「変異体(へんいたい)」となる現象が多発。
プレイヤーは、3人のアンドロイドを主人公として、それぞれの視点から物語を体験できる。
コナー: 変異体事件を捜査する最新型のアンドロイド捜査官。
カーラ: 持ち主の家庭から逃亡した家事用アンドロイド。
マーカス: アンドロイドの自由を求めて立ち上がる革命のリーダー。
この3人の物語が交錯し、プレイヤーの選択によって、その後の展開が大きく、そして複雑に変化していくのが、このゲーム最大の魅力。
『デトロイト ビカムヒューマン』の5つの魅力
1. プレイヤーの「選択」が未来を創る、驚異的な分岐ストーリー
このゲームの最大の特徴は、プレイヤーが下す一つ一つの「選択」が、その後の物語に決定的な影響を与えること。
まるで自分が監督になったかのように、物語の行く末を自分で決めることができる。
些細な選択も無駄にならない: 例えば、部屋に落ちている新聞を読むか読まないか、目の前の人物に優しく接するか冷たくあしらうかといった、一見些細な行動も、後々の展開で重要な意味を持つことがある。
キャラクターの生死すら左右する: プレイヤーの選択によっては、3人の主人公のうち誰かが命を落とすこともあり、そこでゲームオーバーになるのではなく、物語は残ったキャラクターたちによって続いていく。
誰が生き残り、誰が犠牲になるのか、すべてはプレイヤーの手に委ねられている。
「フローチャート」で選択肢の全貌が明らかに: 各チャプターをクリアすると、自分がどのような選択をして、どのような展開になったのかが「フローチャート」として可視化される。
このフローチャートを見ることで、自分の選ばなかった道の先にどんな結末があったのかを知ることができ、何度もプレイしてすべてのエンディングを見てみたくなる衝動に駆られるはず。
このように、何気ない選択が雪だるま式に大きな変化を生み、数十種類にも及ぶエンディングに繋がるため、「自分だけの物語」を体験できる。
2. まるで実写映画のような圧倒的なグラフィックと没入感
PS4の性能を最大限に活用した、実写と見紛うほどの美しいグラフィックも大きな魅力。
繊細な表情表現: キャラクターたちの表情や仕草が非常にリアルで、アンドロイドの持つ無機質な美しさや、感情が芽生えていくさまが繊細に描かれており、彼らの喜怒哀楽、葛藤、そして恐怖が、プレイヤーの心に深く刺さる。
SFの世界観を徹底的に再現: 2038年のデトロイトの街並みは、未来的ながらもどこか現実味を帯びており、アンドロイドと人間が共存する社会の空気感を肌で感じ、街の広告やニュース、人々の会話に至るまで、細部まで作り込まれた世界観に没入できる。
映画的なカメラワークと演出: 映画監督が手がけたかのような、巧みなカメラワークと演出が随所に散りばめられており、緊迫感のあるシーンでは画面が揺れたり、感情を揺さぶるシーンではクローズアップされたりすることで、まるで自分がその場にいるかのような臨場感を味わえる。
3. 誰でも楽しめるシンプルな操作性
「ゲームは得意じゃない」という方でも安心してプレイできる、シンプルな操作性も特徴的。
複雑なアクションは不要: 主に、画面に表示されるボタンをタイミングよく押したり、コントローラーを特定の方向に傾けたり、タッチパッドを操作したりといった直感的な操作が中心。
緊迫感を高めるQTE: アクションシーンでは、画面に表示されるボタンを素早く正確に入力する「クイックタイムイベント(QTE)」が発生。
失敗しても物語は進みますが、その後の展開が変わったり、思わぬ展開になったりするため、成功させようという緊張感が生まれる。
ゲームに慣れていない人も安心の難易度設定: 難易度設定も用意されており、ゲーム初心者の方でも安心して物語を楽しむことができる。
4. 「人間とは何か?」という深いテーマを問いかける物語
『デトロイト ビカムヒューマン』は、単なるSFアクションではありません。物語の根底には、非常に深く哲学的なテーマが流れている。
AIの進化と人間性: 「人間と瓜二つのアンドロイドに、心や魂は存在するのか?」「彼らはただの道具なのか、それとも生きる権利を持つ存在なのか?」といった問いを、プレイヤーに突きつけてくる。
社会の差別と偏見: アンドロイドに対する人間の差別や偏見、そしてそれに対するアンドロイドたちの抵抗は、現実社会の社会問題とも重なり、プレイヤーに多くのことを考えさせる。
自己のアイデンティティ: 主人公たちが「変異体」として、自分たちの存在意義や自由を求めていく姿は、私たちが日々直面する「自分とは何か?」という問いにも通じるものがある。
プレイヤーは、3人の主人公の立場から、それぞれの正義や道徳観に基づいた選択を迫られることになります。「もし自分が彼らだったら、どうするだろうか?」と、深く考えさせられてしまう。
5. 忘れられないキャラクターたちとの出会い
3人の主人公であるコナー、カーラ、マーカスのそれぞれに、魅力的なバックストーリーと人間ドラマが用意されている。
コナー: 任務遂行を第一とする冷徹なアンドロイドから、人間的な感的な感情に揺れ動いていく姿は、多くのプレイヤーの心を掴んだ。
相棒の刑事ハンクとの掛け合いも、物語の大きな見どころ。
カーラ: 幼い少女アリスを守るために、すべてを犠牲にして逃避行を続ける姿は、母性や献身的な愛を感じさせ、プレイヤーの感情を揺さぶる。
マーカス: 優しい持ち主のもとで平穏に暮らしていたアンドロイドが、アンドロイドたちの自由を求めて立ち上がる革命家へと変貌していくさまは、壮大なドラマを感じさせる。
3人の物語は、それぞれ独立したドラマでありながら、ある局面で交差し、互いに影響を与え合う。
彼らの運命が交わる時、プレイヤーは大きな決断を迫られることになる。
まとめ:『デトロイト ビカムヒューマン』はこんな人におすすめ!
まるで映画を観るようにゲームを楽しみたい人: 壮大なストーリーに没入したい方。
自分の選択が物語を変えるゲームが好きな人: リプレイ性の高いゲームを求めている方。
SFやアンドロイドがテーマの作品が好きな人: 『ブレードランナー』や『A.I.』といった作品が好きな方。
深く考えさせられる物語を求めている人: 哲学的なテーマに興味がある方。
PS4『デトロイト ビカムヒューマン』は、単なるゲームの枠を超えた、「体験」と呼ぶにふさわしい傑作と呼べる作品である。
ぜひ、あなた自身の物語を紡いでみてはどうだろうか。