エロく聞こえるけど実は違う?本来はとても“真面目”だった日本語10選
普段なんとなく使っている日本語の中には、
「ちょっとエッチに聞こえる」「なんか艶っぽい」
と感じる言葉がけっこうありますよね。
でも実はその多くが、
昔の日本人にとっては“普通で真面目で、
むしろ上品”な意味だったりします。
言葉の歴史をたどると、
「今エロく感じているのって、現代人の勝手なイメージなんだ…」
と驚くこともしばしば。
今回はそんな“誤解されがちな言葉”を、
語源・文化背景・古典での使われ方・現代の誤解ポイントまで深掘りしてご紹介します♡
目次
① あえぐ(喘ぐ)

◆今のイメージ
息が乱れて苦しそう…という場面から、
艶っぽいシーンを連想されがち。
◆本来の意味
本来は 「努力・苦労で息が荒くなること」。
奈良時代の『万葉集』でも
「恋にあえぐ」=恋心で胸が苦しい
という、どちらかと言えば“切ない”意味でした。
◆どうしてエロく聞こえるようになった?
近代文学で “興奮による息遣い” を描写する際に比喩的に使われるようになり、
そこからイメージが固定されたと言われています。
◆豆知識
昔の辞書では「努力する」の意味がメインで、
“エロ表現”は後の時代についた完全なる派生。
② まぐわう(交わう)
◆現代の印象
大人向け表現としてのイメージが強すぎる単語。
◆本来の意味
「人と人が関わり合う」「交際する」「交錯する」 という“普通の言葉”。
古代の役所文書にも普通に出てきます。
◆どうして性的に使われるようになった?
中国古典で「交わる」が性的意味を持つことがあり、
その影響が日本語にも入ったとされます。
ただし“元々”はまったく別。
◆豆知識
江戸時代の町人文化では「ご近所さんとまぐわう」=仲良く交流する、の意味で頻出。
③ 色気(いろけ)

◆現代の印象
“エロさ”の代名詞。
◆本来の意味
情緒・風情・趣き。
景色や芸術にも使う“美の感覚”を指す言葉でした。
・「色気ある庭」
・「色気のある文章」
→ もちろんエロくない。
◆どうして意味が変わった?
「女性の色気=魅力」という比喩が浸透し、
そこから性的な魅力へと意味が広がったと考えられています。
◆豆知識
室町・江戸の芸能(能、歌舞伎、浄瑠璃)で“役の魅力”を表す際に使われたのが現代のイメージの源流。
④ 乱れる(みだれる)
◆現代の印象
髪が乱れる=色っぽい、というイメージが定着。
◆本来の意味
秩序が崩れる・整っていたものが散らばること。
政治・戦場・自然災害などを説明する“硬い言葉”。
◆なぜ色気と結びついた?
平安文学で「髪が乱れる=恋慕・動揺」の象徴として使われ、その文学的表現が後世に残ったため。
◆豆知識
『源氏物語』では“乱れ髪”は恋愛の伏線表現としてよく登場。
⑤ うなじ

◆現代の印象
フェチ性の象徴。
和装の女性の色気といえば“うなじ”。
◆本来の意味
ただの “首の後ろ”。
昔の日本人はうなじにエロスはほぼ感じていませんでした。
◆なぜ色気の象徴になった?
江戸時代、女性が髪を結う「結髪」が一般化し、
首筋が見えること自体が“珍しい=特別”だったため。
服装文化が生んだ色気です。
◆豆知識
舞妓さんの「三つ紋の襟足」は意図的に色気を演出した江戸の文化。
⑥ そそる(唆る)
◆現代の印象
“性的にそそる”などの表現が浸透。
◆本来は?
心を刺激してやる気や欲求を起こさせる。
例:食欲をそそる、旅心をそそる
→健全な使い方が主。
◆エロ表現として使われだした理由
戦後の雑誌・映画タイトルの表現が要因。
広告コピーでよく使われたため一般化。
◆豆知識
古語の「そそる」は“誘い寄せる・誘惑する”の意味もあるが、性的ではなく心理的。
⑦ 値踏み(ねぶみ)

◆響きがちょっと妖しい系
夜職で「客を値踏みする」のような使い方も。
◆本来の意味
商品・人・技能などの価値を見定めること。
商売用語でとても堅実。
◆語源
“値(ね)”+“踏む(ふむ)”=価格を足で踏んで確認するイメージから。
◆豆知識
古い市場では「踏む=確かめる」という意味の身振りがあったと言われる。
⑧ 甘露(かんろ)
◆官能的な響き
“甘い露”という言葉の雰囲気が妖しい。
◆本来の意味
仏教語で、天の恵みを象徴する尊い水。
長寿・悟り・救いの象徴。
◆どうして官能的に聞こえる?
響きがロマンチックで、文学表現に使われたため。
ただし本来は“神聖寄り”の言葉。
◆豆知識
江戸時代、うまい食べ物を「これは甘露だ!」と褒めていました。
⑨ わななく(戦慄く)

◆現代の印象
「震える」という描写から、大人向け作品で使われることが多い。
◆本来は?
恐怖・寒さ・怒りで震えること。
古典では“寒さ”を表す用語。
◆エロく聞こえる理由
小説・ドラマで“震える身体”の描写が増えたため。
表現の連想による誤解。
◆豆知識
語源は“わなな”という擬音(ぶるぶるした音)から。
⑩ 火照る(ほてる)
◆現代の印象
ほっぺが赤くなる=恋愛か情熱のイメージ。
◆本来の意味
運動・日差し・風呂上がりなどで身体が熱くなること。
完全に生理現象。
◆なぜ恋愛・性的に使われる?
平安文学で「恋焦がれ=身体の熱」と結びつけて描いたため。
そこから“恋の症状”として定着。
◆豆知識
医学的には火照りは体温調整の一環で、恋とは無関係。
まとめ:言葉は時代がエロくする
今回紹介した10個の言葉は、どれも 本来はとても真面目・清らか・実務的。
それが文学・広告・メディア表現の中で
「エロのイメージを背負わされただけ」
というケースが多いです。
つまり、
“言葉がエロいのではなく、私たちのイメージがエロいだけ”
というわけですね♡





