
本日の高知は、朝こそ穏やかな青空が広がっていましたが、午後からは一転して雨模様に。
空の色がじわじわと暗くなり、遠くの山の向こうからゆっくりと灰色の雲が押し寄せてくる様子は、まるで祭りの熱気を冷ますために自然がいたずらを仕掛けたようでした。
実は、今日は人生で初めて生のよさこい祭りを見るはずだった日。
心の中では、色とりどりの衣装に身を包んだ踊り子たちの姿や、鳴子の音が響く賑やかな風景を想像してワクワクしていたのですが、残念ながら雨には勝てませんでした。
それでも、「あぁ、これもまた高知での特別な思い出のひとつだな」と思えるのが、自分でも少し不思議です。
高知に来てからというもの、この年齢になってもなお、初体験が驚くほど多いのです。
たとえば、高知特有の強烈な陽射し。暑いというより、肌を刺すような「痛さ」を感じる日差しは、これまでどこに住んでいても経験したことがありませんでした。真夏の昼下がり、わずか10分ほど太陽の下に車を停めておくだけで、中は息苦しくなるほどの灼熱地獄。初めは「これは危険だ」と驚きましたが、今では「これぞ高知の夏」と、半ば愛着のような気持ちで受け止めています。
街中では、よさこいの練習の音色が風に乗って聞こえてきます。道端ですれ違うときに自然と交わされる地元の方々の温かい挨拶、食堂で出される新鮮なカツオのたたきの香り――その一つひとつが、自分の中で新鮮な驚きとして刻まれています。まるで毎日が小さな旅行の連続のようで、日常そのものが冒険のように感じられるのです。
今日は雨でよさこいは見られませんでしたが、その代わりに入った喫茶店で、地元の方と偶然会話が弾みました。高知の昔のよさこいの様子や、山と海に囲まれた土地ならではの暮らしぶり、そして地元の人しかしらない絶景スポットなど、聞けば聞くほど面白い話ばかり。こうした予期せぬ出会いや時間もまた、高知の魅力のひとつです。
夕方、雨が小降りになり、濡れた路面が街灯の光を反射してきらめいていました。
ふと、「雨で中止になったことも、後から振り返れば“高知の初体験”の一ページだ」と思えた瞬間、胸の奥にじんわりと温かい気持ちが広がりました。
――だからこそ、声を大にして言いたいのです。
「初体験がいっぱいある高知へ、ようこそ!」
この土地で、まだ見ぬ景色や出会いがこれからも待っていると思うと、本当に楽しみでなりません。