私は、人生という舞台の片隅に、ひとり取り残された――
名もなき怪人。
思いのほか、
醜いだろう?
この顔の奥には、
人には見せられぬ傷が幾つもあり、
この胸の底には、
誰にも知られることのなかった夜が、
幾つも沈んでいる。
夜が明けるたび、
私は何事もなかったように、
静かに仮面を纏う。
笑われた日もあった。
愛を乞うても、
その手を握ってくれる者はいなかった。
誰かの心に残ることさえなく、
ただ静かに、
時間だけが私を追い越していった。
そして時には――
この世界から、
音もなく消えてしまえたならと、
そう願った夜もあった。
それでも、
不思議なものだ。
これほどまでに心を傷つけられても、
これほどまでに孤独に蝕まれても、
私はまだ、
美しいものを夢見ている。
まるで――
地獄の業火にその身を焼かれながら、
天国の扉から漏れる、
ひとすじの光を見つめているような、
愚かな怪物だ。
幸福など、
私には似合わないのかもしれない。
愛されることも、
誰かと笑い合うことも、
私には遠い夢なのかもしれない。
それでも――
夢を見ることまで、
誰かに奪われる理由はない。
ほんの一瞬でいい。
誰かの優しさに触れ、
誰かの笑顔に救われ、
「今日まで生きてきてよかった」
そう思える夜が、
この人生に一度だけ訪れるのなら――
私は、
この傷だらけの人生を、
もう少しだけ抱きしめてみようと思う。
人は皆、
何かを失いながら生きている。
愛する人を失い、
居場所を失い、
夢を失い、
若さを失い、
いつかは、
自分自身さえも、
少しずつ失ってゆく。
けれど――
失ったものの数だけ、
人の痛みがわかるようになる。
流した涙の数だけ、
誰かの涙に、
そっと寄り添えるようになる。
だから私は、
闇を恨まない。
深い闇を知っているからこそ、
夜明けの空を、
これほど美しいと思えるのだから。
私は怪人。
地獄に生まれ、
孤独を纏い、
幾度となく、
光を諦めようとした。
それでも――
もし、この醜い怪物にも、
最後にひとつだけ、
願うことが許されるのなら――
私は、
天国へ行きたいのではない。

ただ一度だけ、
この長い夜を振り返り、
傷だらけのこの身で、
静かに空を見上げたい。
そして、
誰に聞かせるでもなく、
誰に褒められるでもなく、
この人生の最後に、
そっと呟きたい。
「それでも――
生きてきて、よかった」
その言葉を、
世界が覚えていなくてもいい。
誰の記憶にも、
残らなくてもいい。
最後の最後に、
自分だけは、
自分の人生を見捨てないでいたい。
その瞬間まで――
私は、
怪人のままで生きていく。
皆川「焼肉食うたら、元気でんでぇ」
怪人「……焼肉に、にんにく食べて――」
「元気100倍!」
――めでたし、めでたし。
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