人生で一番驚いたこと、それは 「自分が働いている会社の社長が、実は有名AV男優だった」 という事実が発覚したことだ。
あの日、いつものようにオフィスで仕事をしていた。特に変わったことはない、はずだった。ところが、昼休みに会社の若手社員たちがスマホを覗き込みながらコソコソと何かを話している。「マジで?」「いやいや、似てるだけだろ」「でも、このシーンのカット…」そんな単語が飛び交っていた。俺は気になって「何の話?」と聞いた。
「いや…実は…」と新人の一人がスマホを見せてきた。そこには、20年前の伝説級AVのキャプチャ画像が映っていた。そして、その男優の顔を見た瞬間、目の前が真っ白になった。
ウチの社長だった。
いやいや、ありえない。そんなはずはない。でも、角度を変えても、光の加減を変えても、そこにいるのは間違いなく社長なのだ。若干の髪のボリュームの違いはあるが、骨格と目元が完全一致。しかも、シーンの中で彼は 「情熱の経営論」 なる謎のセリフを吐いている。まさかと思い、震える手でネット検索をかけた。
結果——
20年前の業界トップ男優、現在は某企業の社長に転身 という衝撃のインタビュー記事がヒットした。
昼休みが終わり、俺は動揺しながらもなんとか業務に戻った。そして夕方、社長が会議に登場。どう見ても普通に真面目な経営者として振る舞っているが、脳内では彼が20年前に演じた「情熱の経営論」のシーンが何度もフラッシュバックする。もう真面目に話を聞ける自信がない。
さらに極めつけは、会議の締めの一言。
「これからも熱意を持って仕事に取り組んでくれ!」
その瞬間、完全に崩れ落ちそうになった。
もう辞めた会社だが、これ以上に驚く出来事は、人生で二度とないと思う。
