
電話口から聞こえる落ち着いた低い声。それはまさに、一流のビジネスマンを思わせる響きでした。
予約の時間もスムーズに決まり、こちらも「これは紳士的なお客様だ」と期待していました。
しかし――その期待は、女の子からの緊急連絡で打ち砕かれることになります。
「お客様が3万円足りないとおっしゃってます…総額からまけてくれないかと……」
女の子からの不安そうな声に、私はすぐに現場スタッフへ確認を指示。
その後の報告で明らかになったのは、信じられない事実でした。
待ち合わせ場所に現れたのは、よれよれのスーツに油で光る靴、そして無精髭の中年男性。
自己紹介の「会社経営者」という肩書きには、どこにもそれらしい片鱗が見えません。
「これ、本当に予約したお客様なの?」
スタッフと確認を進めるうちに、どうやらこの男性が、名前も職業も偽っていることがわかりました。
挙句、お金もないのに、高級店の女性を見たかったとのこと…
結局、女の子の安全とお店の信用を守るため、その場でお断りを決定。
当時、オープンしたばかりということもあり、お灸を据えて出禁勧告をいたしました!
電話での紳士的な振る舞いとのギャップに、私はしばらく言葉を失ったほどです笑