E+錦糸町マネージャーのコーフィと申します。
今回は特別番外編として、私がTV出演した時の、
”テレビの力”についてお話させて頂きます。
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~0合目~熱帯夜の誘惑
あれはちょうど8月頃、
昨夜と同じジメジメとした
熱帯夜のような日だった。
深夜、友人と車を走らせ
クーラーを付けてても
少しジメジメした嫌な感覚が
続く夜だったのを覚えている。
2時ごろ、縁結びに御利益が
あると言われる高尾山へ
車を走らせてる道中、
なぜか富士山へ行きたい
気持ちがちらつき始め、
友人からも”富士山行きたいなぁ”
とボヤキ始める。
そして私たちは途中で進路を変更し、
富士山へ向かったのであった------
~5合目~神の眼差し
振り返ってみると、
あの車内でのジメジメした感覚が
全てを狂わせたのだ。
と、今になって実感し、
とても遺憾である。
気付いたら私たちは
富士山5合目の駐車場にいたのだ。
なぜここにいるのだろうか。
なぜ高尾山に行かなかったのだろうか。
という疑念を薄々感じつつも、
富士山にきた悦びの方が
大きかったのは確かだ。
早朝5時でも、日本人や外国人の観光客で
賑わうギフトショップ。
また天気がとても良く、
5合目でも眺めが素晴らしかった。
山頂へ目指すであろう登山者や軽装の観光客が
登山口へ進んで行く姿に、
私たちも自然と進んでいた。
6合目までは道も舗装されおり
軽々とたどり着ける。
売店があり軽食を購入できるが、
さすが富士山だ。
500mlの水が800円だった。
6合目以降は登山装備した者が登り、
軽装の観光客は5合目に戻る。
もちろん私たちも軽装だし、
本来はここで戻らないと命の保証はなく、
これより先に登るつもりなどなかった。
しかし----
上を見上げると曇り一つない富士山頂が
わたしたちを見下ろしていたのだ。
何とも神々しい日本最高峰
"頂"がこちらを見ており、
語りかけてくるのだ。
「どうせお前らにはこれないだろう---」
わたしは何故か悔しかった。
見下されてる感覚だ。
~8合目~試練
わたしたちは気付いたら登っていたのだ。
途中でリタイアし下山してくる
登山者たちに白い目で見られながら、
また同じペースで登る登山者は
バックパックから
ジャケットを取り出し羽織る者もいた。
私たち2人は7合目の休憩所にいた。
灰皿が設置されており、
煙草を燻らせながらも
8合目からの景色に見惚れてしまい、
すぐ2本目を点けた。
8合目ですら壮観であった。
私と同じ高さのものが一つもない。
すべてを見下ろし、神になった気分であった。
ただ一つ私よりも高い所に位置し、
いまだ見下してくる者がいた。
それは”山頂”だ---
だがそれももう少し。
明らかに近づいている。すぐそこなんだ!
しかしここで常駐スタッフに止められる。
これ以上は危険だ。
本当に命の保証がない、と。
否。
まるで聞こえなかったかのように、
自然と上へ向かう。
”頂”神の領域を目指して-----
~頂~
確かに8合目からの
道のりは険しく難しかった。
ゴロゴロとした岩が散らばり足元が悪く
心なしか空気も薄い気がした。
徐々に天候も悪くなり
気温が下がり肌寒さを覚えた。
9合目に差し掛かる所に鳥居があり
山頂下にも鳥居があった。
山頂下の鳥居を潜り岩場を登ると山頂だ。
しかしその岩場がまさにロッククライミングで
かなりきつかったと記憶してある。
そして遂に上り詰めたのだ。
”富士山頂”に----
しかし残念なことに
5合目から見上げた
雲一つなかった頂とは違い、
雲が多く発生してしまい、
見渡す限りが雲であった。
というより、
雲の中にいるような不思議な感覚であった。
"頂"と同じ高さで見たかった
景色も何も見れず、
まさに神のいたずらだ。
さらに追い打ちを
かけるかのような寒さ。
山頂の気温は夏場でも10℃前後で
当時は8℃だった。
それでも日本最高峰にいる自分に
達成感を感じ酔いしれていた。
売店でカレーうどんを頂き
煙草をくゆらせ、
足早に下山ルートへ向かったのだ-----
~下山~嘘と偽り、そして捏造
山頂から足早に下山ルートへ向かうも
明らかに登りよりもきつい。
もちろん疲労もあったが、
下山ルートは大小ゴロゴロとした岩が
散りばめられて
ほとんど舗装されてない道を
ただひたすらにジグザグと
降りなければならなかったからだ。
常に小石がクロックスの中で踊り、
素足を傷つけ歩きずらさに拍車をかけた。
ちょうど切り返しポイントで大きな岩場があり
その日陰で仮眠をとってしまった-----
???「すいません。すいません!
危ないですよ!」
と、起こされた。
よく見ると富士山の山岳レンジャーだった。
落石があり、また下落の危険もあるので
横になり寝るのはとても危険だ。とのこと。
また私の格好を見て、顔を真っ赤にし、
この格好でどこまで行ったんだ!
登山を舐めるな!と憤慨した。
レンジャー「危ないから
さっさと降りなさい!」
と叱られ、
下山を再開することに・・・
んっ?
よく見るとレンジャーの後ろに
明らかにレンジャーではない人たちもいた。
一人はテレビカメラを背負いながら、
一人は大きなバックを背負った人が数名いた。
内一人が私に近づいてきて、
満面の笑みを浮かべながら話しかけてきた。
???「すごいですね!
山頂まで行ったんですね!」
???「少しインタビューしても
いいですか??」
わたくし普段はインタビューや
取材などは全てお断りだが・・・
急に起こされレンジャーに
説教をくらった後だったので
軽い気持ちでインタビューに
付き合ってしまったのだ。
よくよく聞いたら
"ビートたけしのTVタックル"
という番組の企画で、
この時期の登山客へ
インタビューしてるというものであった。
なぜ富士山に登ろうとしたのか、
下準備などはしたのか。
などの質問であった。
途中、冗談など交え終始盛り上がり、
最後に出演承諾書にサインをした。
そこから無事、下山し最後に近くの
銭湯に入り帰路についた。
~奈落の底~
インタビューの事などすっかり忘れていたが
知人数名から急に連絡が入った。
なんと、あの時受けたインタビューが
O.Aされていたのだ!
あの感じで結構ウケとれたかな。
と思ってたら・・・
あろうことか、
弾丸登山の危険性についての特集で
まるで私たちが悪者かのような内容だ・・・
編集の仕方も、
BGMも、ナレーションも、
完全に悪者扱いのような
演出になっている。
レンジャーに怒られてる場面、、
いや、待てよ・・
レンジャーが私たちを発見したところから
既にキャメラは回っていたのだ!!
テレビクルーの満面の笑みは
良いカモを見つけたからだったのだ!
その放送に出演していた演者ドン引き・・
東◯原は何か言ってて完全に悪者扱い
それが全国区の民放で放送されたのだ。
ちなみに登山した時の服装は
アロハシャツに半ズボン、
素足にクロックスという
近所のパチ屋に行く格好だった。
私たちは完全に騙されたのであった・・・
この瞬間にテレビの恐ろしさを
身をもって体感したのであった。
ただ唯一の救いは、
ビートたけしだけ爆笑していたことだ。
そして今日も富士山はわたしを見下ろしている。
※こちらが実際に放送された時の一部
