
第四回 水族館デートの後に寿司食いたいって言ったら怒られた話
どうも、魚を見ると“可愛い”より“美味そう”が先に出る男です。
先日、夫婦で水族館デートに行きました。
イルカショーでは嫁が「かわいい〜!」と声を上げる横で、俺は「塩焼きならレモンが合うな」とつぶやきそうになり、必死で口を噤みました。
館内を一周して、出口に向かうとき――
俺「なぁ、この後、寿司行かんけ?」
嫁「……は?」
その瞬間、嫁の表情が一瞬で“笑顔”から“真顔”に切り替わりました。
イルカより速いスピードで機嫌が泳いでいったのを感じました。
嫁「さっきまで魚見て“かわいいね”って言ってたのに、出てすぐ食うってどういう神経しとるん?」
俺「いや、すべてに感謝して”いただきます”が最大の愛情……」
嫁「黙れ」
寿司のカウンターが夢に見えたけど、俺の財布と胃袋は空っぽのまま帰宅。
嫁は静かにテレビをつけ、俺は冷蔵庫のコーラで空腹を誤魔化しました。
水族館デートは“思い出”を持ち帰る場所であって、“寿司欲”を持ち帰る場所じゃない――。
そう学んだ一日でした。