
第五回 映画館でポップコーンLLサイズ完食したら嫁にドン引きされた話
どうも、映画はスクリーンより売店のメニューに心躍る男です。
先日、嫁と「8番出口」を観に映画館へ行きました。
ポスターを見て真剣な顔をしてる嫁の横で、俺の視線は「ポップコーンLLサイズ ドリンク付き」の看板に釘付け。
俺「なぁ、LLにせんけ?」(能登訛り)
嫁「は?Mでええがいね。二人で食べるんやし」(金沢訛り)
俺「いやいや、LLやとお得やぞ。映画はポップコーンが主役やがいね」
嫁「主役はスクリーンやって。アンタの腹ん中じゃないげんよ」
上映開始。
映画の不気味な空気が館内を包む中、俺の手はポップコーンに一直線。
バリッ、ポリッ…気づけば予告編の途中で容器は半分以下。
クライマックスに差し掛かる頃には――底が見えていた。
俺「……あ、もう終わった」
嫁「は?映画じゃなくてポップコーンの感想言わんといて」
俺「手が止まらんかったんや。サスペンスよりスリリングやったぞ」
嫁「何言っとるがいね…。アンタの胃袋、恐怖映像やわ」
エンドロール、館内が静まり返る中で嫁のひと言。
「8番出口よりアンタの食欲がホラーや」
俺は笑ってごまかしたけど、
抱えていた空っぽの容器だけが、妙にズッシリ重かった。