
もともと蕎麦って当然十割でした。そば粉しか使っていなかったのです。その蕎麦には致命的な弱点がありました。それはうどんと比べてのど越しが悪いということでした。蕎麦の風味は良いのにのど越しが悪い、これをなんとか出来ないのかと試行錯誤して出来たのがそば粉に2割小麦粉を混ぜる二八蕎麦でした。蕎麦の風味は生かしつつのど越しが良い二八の割合は当初は門外不出と言われていたほどです。現在の風潮だとそば粉をかさ増しするのに小麦粉を混ぜているみたいに思われていますが違います。そば粉に2割小麦粉を混ぜるという秘伝で美味しくかつのど越しが良い蕎麦が出来るのです。だから私は守破離ではいつも二八ですし、十割そばが至上の蕎麦だと謳っている店は嫌いです。
ちなみに私は高級蕎麦屋で一般的な、まず麺だけを味わい、その後塩で味わい、つゆをちょっとだけつけて、わさびは風味が逃げないように麺に載せてツユに溶かさない、という食べ方は最近はしません。薬味もわさびもツユに投入して、麺にたっぷりつけて食べるのが守破離みたいな専門店では背徳感があって好きです。冷静に考えてもその方が美味いと思います。専門店でやると失礼にあたるからしない人も多いですが、そこであえてするのもなかなかオツなものですよ。


