
では一体どこで契約が取れるかどうかが決まるのか。それは訪問先のドアをノックする瞬間、また電話でアポを取る場合は電話番号のボタンをプッシュする瞬間に決まる、と言うのです。その瞬間に「絶対に契約が取れるんだ」と確信すると契約が取れるそうです。ちょっと古いですが妖怪人間で「まもる君、待っていろよ」みたいな感じでプッシュボタンを押すのでしょう(笑)。また、もう亡くなりましたが大本教の教祖であった出口王仁三郎も神事が成功するかどうかはどこで決まるのかというと、神主衣装を着て帯をビシッと締めた瞬間に決まると言っています。この二つに共通することはなにかというと、会ってからでは遅いということです。会った時にはもう勝負がついています。
何の準備もせずに出勤してきて待機で飯食って寝腐って、仕事が入ったら寝起きのまま行く。こんなので指名になるはずはありません。待機とは緊張感を持って、仕事が入った時に最高のパフォーマンスが発揮できるように準備する時間です。仕事で気を遣っているのだから待機では気を遣わないで済むように、なんて考えている店もあるでしょうし、その方が女性ウケするのは分かっています。しかし、私は全く真逆の考えをしています。ずっと気を遣っていないと、いざ仕事となったときに気を遣えるものではありません。待機でも常に気を遣って神経をすり減らしていないと、仕事の時に気を遣えないのです。さらに待機の方が仕事より気を遣うぐらいであれば、仕事の方がマシとまで思うことができます。だからハナミズキは決して待機を快適な空間なんかにしません。もちろん個室なんかにせず、狭く全員がゆっくりとは入るなんてことは出来ないようにしているのです。狭い待機で顔を合わす環境ではお互いに気を遣わなければやってられません。それが良いのです。常に神経をすり減らしながらいるから仕事でもその延長で気を遣えるのです。気は遣ったらなくなるものではなく遣えば遣うほど練り上げられていくものだからです。ここまでやっていて初めて仕事の連絡がきて待機を出る瞬間に「これから会うお客様は絶対に指名で返ってくる」と確信することができます。


