吉野家によく行くのですが、変わったなとつくづく思います。私は大学生の時、家庭教師をして、それが終わると吉野家で深夜バイトしてました。もう20年以上前ですが、その時は飯盛り機を使っていませんでした。当時も飯盛り機は他の店では使い始めていたのですが、吉野家では牛丼のタレがまんべんなくご飯に沁みるように空気を含ませて2度盛でご飯をよそってました。飯盛り機では空気を含ませての2度盛が出来ないので今後も導入しない方針でした。ところが2度盛をするとどうしてもご飯を規定より多くよそってしまいます。計りもあるのですが毎回計っていたらさばけませんので抜き打ちで計る方式でした。すると毎回、規定よりご飯が多かったので「気を付けろよ」と通達がしょっちゅうありました(笑)。おそらくこの傾向が全国だったので渋々飯盛り機を導入したのでしょう。正確さを考慮するとしょうがないことなのですが、やはり2度盛した方が美味しいでしょう。また、卵も店で割ってから出してました。そして早いというのをより実感してもらうために卵を先に出して溶いてもらっている間に提供する方式でしたが今は同時提供で卵を割るのも客にやらせています。従業員が割るのを失敗することも結構あったのでしょうがないのでしょうが、割られた卵を先に出される方が客としては嬉しいでしょう。提供するのも同時に注文された時に値段が高い人から順番に提供する、会計も値段の高い人が優先、というルールもありましたがそれもメニューが多様化したために撤廃されたみたいです。吉野家であっても高い金額を払う客を優先するというのは細かい配慮だと思っていました。ただその配慮に気が付いていない人も多かったです。「なんであっちの方が先なんだ」と文句を言う人もそこそこいましたから(笑)。全国チェーンだから自動化、機械化しないと品質が一定しないというのは分かります。だからある程度仕方のないことなのですが、私がいた当時は正社員の人は職人気質でした。「アイツが肉鍋やっている時より俺の時の方が美味いはずだ」なんてよく争ってましたから(笑)。「吉野家なんかどこも一緒の味だろ」と思う人もいるかもしれませんが今は知りませんが昔は違いました。客の来店数を予測し煮込む肉の量を変え、それに合わせタレをどれぐらいの濃さにするのか、その薄めるお湯も普通のお湯ではなく玉ねぎを煮出して甘味を出すのですがどれぐらいの玉ねぎを入れるのか、全てその時任されていた正社員のカンに頼っていました。だから美味い吉野家を見つけると正社員の人は身分を隠してその店舗まで食べに行き、工程をチェックしてました。そんな職人が今の吉野家にも残っていたら、どんなに遠くても食べに行きたいものです。はるばる何時間もかけてその目的が○○店の吉野家に行ってそこの牛丼を食べること、というのもなかなかオツじゃないですか。



