道頓堀にある有名な「はり重」、そこは高いから行ったことないのですが、離接している「はり重グリル」、そこならギリギリ行けます。だいぶ前ですが、藤山寛美さんがここのサーロインステーキが好きだったと聞いて食べに行ったことがあります。まあ、藤山寛美さんも知らないのですけど(笑)。ステーキのコースはさすがに手が出ないのですがサーロインステーキ単品なら清水の舞台から飛び降りる気持ちでいけば払える金額です。それにポタージュスープとパンを付けました。まずポタージュスープとパンが出てくるのですが、ポタージュスープはすこぶるぬるいのです。色はどす黒い感じでおそらく秘伝の何かが入っているのでしょう。味はまあ普通でドロッとしたポタージュスープですがなんでこんなにぬるいのだろうと不思議でした。提供されるまで結構時間は長いので一層不思議です。パンはどうかんがえてもネオバターロール、しかも全く温められていない、ネオバターロールを袋から出してそのまま皿にのせた感じです。いったいなぜなんだ、と思いましたが周囲を見た時に分かりました。みんなゆっくり食事を楽しんでいます。「そうか、熱いスープや焼き立てのパンはやがて冷めてしまう。でもぬるい状態で美味しいものを提供すれば、冷めるという心配がないためゆっくり食事が出来る。手作りの焼いたパンより常温で袋から出してすぐ食べることを想定して作られているネオバターロールみたいなパンの方がこの温度で提供するのには良いということで、全部計算されていたのだ」と思いました。そしてこんな高い値段でぬるいスープで既存のロールパンみたいなのを提供してきてがっかりした自分を恥ずかしく思いました。その視点で見れば全てが納得できました。チューハイの炭酸がほとんど抜けているのもゆっくり飲めるようにするため。そして付いているミニサラダのレタスがちぎられていないのも時間が経ってもしなっとならず本来のレタスの味が楽しめるから。そう考えると素晴らしいホスピタリティだ、ちょっとでも「ふざけるな」と思った自分は何も分かっていなかったのだと反省しつつゆっくり味わいながらステーキの到着を待っていました。「うん、よく味わえば常温のネオバターロール、美味い。ぬるいポタージュス~プはなんかどす黒いけどよく味わえば歴史の味がする気がする。サラダも葉っぱが大きく食べにくいけど、ゆっくり食べたら食べれるし、何の変哲もないドレッシングはシンプルが一番なんだ。」そう思いながら満足していたのですが、ステーキが運ばれてきました。そして食べたら、これでもかというぐらい熱々(笑)。いったいそれまでのはなんだったんでしょう。



