
「日本って性犯罪が少ないのって、風俗があるからじゃない?」
こんな話、SNSや飲み会で聞いたことある人も多いかもしれません。
一見それっぽく聞こえるこの説、実際のところどうなんでしょう?
今回はちょっと真面目に、「風俗と性犯罪の関係」について考えてみたいと思います。
そもそも“風俗”ってなに?
日本でいう「風俗」は、ソープランドとかデリヘル、ピンサロなんかの“性サービス”を提供するお店のこと。
いろんな形態があって、法的には「風営法」というルールで規制されています。
海外だとこういうお店がない国も多いし、あっても違法だったりすることもありますよね。
日本の性犯罪、ほんとに少ないの?
実際、日本の性犯罪の報告件数は他の先進国と比べると少ないと言われています。
たとえば、アメリカやイギリス、フランスなんかと比べると、強姦や強制わいせつの数字はかなり低め。
でも、ここで注意したいのが「報告されてる件数」ということ。
性犯罪って、被害を受けても警察に言えない人が多いんですよね。
日本は特に「恥」や「被害者が責められる」みたいな空気もあるから、実際には数字に出てこないケースもたくさんあるはず。
「風俗が性欲のガス抜きになってる説」ってどうなの?
ある種の男性にとって、風俗産業は性欲の「合法的な受け皿」となっています。
多忙や孤独、人間関係の不全などから性欲のはけ口を失ったとき、
非合法な行為や暴力に走るよりも、一定のルールがある風俗に向かうケースがあるというのは、現場関係者からもよく聞かれる話です。
精神科医や臨床心理士の中にも、「性衝動が強く抑制力の弱いタイプの人間にとって、風俗の存在は一種の安全弁になっている可能性がある」とする意見があります。
風俗があることの“影”の部分
風俗って一見、男性の性欲を受け止めてくれるシステムのように思えるけど、問題もあります。
たとえば未成年の関与や、働く女性が無理してるケース、精神的なダメージを抱える人も少なくない。
近年は借金のかたに無理矢理やらされてるとかは皆無ですが。
それに、風俗で働く女性たちにはいろんな事情があります。
中には、子育てや介護、病気などの理由でフルタイムの仕事が難しいという人もいます。
短時間である程度の収入を得られるという理由で、風俗を選ばざるを得ないケースもあるんです。
誰もが“好きで選んでる”わけじゃない、という現実も知っておきたいところ。
そして、「風俗があるから犯罪が減る」という考え方自体、性犯罪を“性欲の暴走”だけで説明しようとしてるところも危ない。
性犯罪って、単なる欲求不満じゃなくて、相手を支配したいとか、暴力的な衝動とか、もっと根深いものが関係してるかもしれません。
風俗産業が性犯罪の抑止に「全く無関係」とは言い切れない現実があります。
だからこそ、白黒ではなくグレーなまま、社会がどう向き合うかを冷静に議論することが必要です。
道徳や倫理だけでなく、現実的な側面や人間の心理、生理に根ざした視点から、この問題をタブーにせず語っていくこと。
そこから、より建設的な対策や社会制度のあり方が見えてくるのではないでしょうか。