第二章：終わりなき振動（バイブレーション）
騎士「貴様ッ！ そのバイブレードをどこで手に入れた！？」
トラカワ「いや、これは掃除してたら……って、ちょ、待て待て待て！！」
鋼鉄の鎧をまとった騎士たちが、一斉に剣を抜いた。
その目は明らかに敵意に満ちている。
トラカワ「えっ、ちょ、話し合いしよ！？ 俺ただのデリヘル店員！！」
騎士「貴様がその剣を持つ資格などないッ！」
一人の騎士が剣を振り上げた瞬間——
ズバァッ！！！
トラカワ「うぐぇっ！！？？」
次の瞬間、視界がぐるりと回転する。
いや、違う——これは、俺の首が飛んだんだ。
血が噴き出し、意識がブラックアウトする……。
……はずだった。
——しかし、目を開けると……
？？？「おい、そこの旅人！ 貴様、何者だ！」
トラカワ「……は？」
再び、鎧の男たちが目の前に立っていた。
石畳の道、レンガ造りの建物、遠くの時計塔……すべてが、先ほどとまったく同じ光景。
トラカワ「……待て待て待て、デジャヴってレベルじゃねぇぞ！？」
そして、右手を見る。
そこには例のバイブ……いや、バイブレードが、しっかりと握られていた。
トラカワ「もしかして……俺、死んだ？」
その疑問が脳裏をよぎった次の瞬間——
騎士「貴様ッ！ そのバイブレードをどこで手に入れた！？」
トラカワ「いやだから掃除してたら——」
ズバァッ！！！
死に戻り（2回目）
——再び、騎士たちの声が響く。
騎士「おい、そこの旅人！ 貴様、何者だ！」
トラカワ「おいおいおい、嘘だろ……！？」
トラカワは絶望に震えた。
何度も何度も殺される。
逃げようとしても、バイブレードはなぜか手から離れず、騎士たちから逃げ切る前に斬られる。
- 斬首（3回目）
- 腹を貫かれる（4回目）
- 馬車に轢かれる（5回目）
- 燃える油を浴びせられる（6回目）
- 弓矢でハリネズミ状態（7回目）
- 「バイブレードの資格なし」とか言われて爆発（8回目）
10回目の死に戻り
トラカワ「……無理ゲーすぎんか？」
トラカワは頭を抱えた。
何をどうしても死ぬ。
全く歯が立たず、一瞬でやられる。
騎士「貴様ッ！ そのバイブレードを——」
トラカワ「もう聞き飽きたわ！！！！！」
叫ぶと同時に、バイブレードが震えた。
ブブブブブブブブ！！！！
騎士「！？ バイブレードが……共鳴しているだと！？」
剣の柄が脈打つように振動し、手がビリビリと痺れる。
その時、トラカワの脳内に直接、謎の声が響いた。
？？？「選ばれし者よ……」
トラカワ「は？ なんだこの脳内アナウンス？」
？？？「汝、真の覚醒を望むならば、バイブと一つになれ……」
トラカワ「いや意味わからんて！！ どういうことだよ！！！」
次の瞬間、バイブレードの刃が黄金の輝きを放ち、トラカワの手に吸い込まれるように融合していく……！
騎士「な、なんだと……！？ まさか、お前が真の——」
トラカワ「待て、どう考えても展開が急すぎるだろ！！！！！」
そして、バイブレードが完全にトラカワの身体に同化した瞬間——
トラカワの全身が、猛烈に震え始めた。
ブブブブブブブブ！！！！！！！！
騎士「な、なにィ！？？」
トラカワ「やべえええええええ！！！！ 俺の身体が！！ バイブになっちまう！！！！！」
光が炸裂し、世界が揺れる。
そして——
次の瞬間、トラカワはまた元の街に戻っていた。
騎士「おい、そこの旅人！ 貴様、何者だ！」
トラカワ「もう勘弁してくれええええええええ！！！！」
——果たして、トラカワはこの無限ループ地獄から抜け出せるのか！？
