壮麗な城の玉座の間——。
騎士たちに連れられ、俺とIくんは豪華な赤い絨毯の上を進んだ。
その先に座しているのは、この国の王……
——カンタだった。
トラカワ「……は?」
俺は思わず声を上げた。
まんま、カンタ。
あの後輩カンタだ。あの、仕事を適当にこなしながらも妙に上司ウケが良かったカンタ。
だが、カンタの方は俺たちに視線を向けると、不思議そうに首を傾げた。
カンタ王「貴様らが、異世界より来た者か?」
トラカワ「……え?」
カンタ王「なるほど。では、名を名乗るがよい。」
知らないフリをしているのか? それとも、本当に知らないのか?
カンタの表情からは読み取れない。
もしかして、異世界転生したけど、元の記憶を失ったパターンか……?
トラカワ「えーと、俺はトラカワと申します。」
Iくん「Iです…うん。」
カンタ王「……ふむ。」
玉座に肘をつきながら、カンタはじっと俺たちを見つめた。
カンタ王「それにしても……」
カンタ王「なぜ、もう一人Iがいるのだ?」
トラカワ「…………は?」
俺は思わずIくんの顔を見た。
Iくんも怪訝そうな表情をしている。
カンタ王「貴様の名はIといったな。しかし、それならばなぜ、そこにもう一人Iがいるのだ?」
カンタが指さした先に——
もう一人のIくんがいた。
トラカワ「ええええええええええ!?!?」
Iくん「…………。」
新たなIくん「…………。」
俺は混乱した。どういうことだ? Iくんが二人?
もしかして、こっちの世界にも「Iくん」がいて、それが俺の知ってるIくんと顔が同じってことか!?
カンタ王「何を驚いている。貴様らはまるで、こやつを初めて見るような顔をしているな。」
トラカワ「いやいや、普通驚くでしょ!? Iさん、二人いるんですけど!? どういうことですか!?」
Iくん「いや、俺にもわからないですよ…うん。」
もう一人のIくん「…………。」
無言のIくん(仮)は、ただ俺たちを見つめている。
その表情は何かを探るような……冷たい視線だった。
カンタ王「異世界よりの者よ。貴様らが持つその剣——バイブレード。それが示す意味を、我らは知る必要がある。」
トラカワ「え、なんでそんな重要アイテム扱いされてるんですか!?」
カンタ王「この国に伝わる伝承によれば——」
カンタ王「バイブレードを持つ者は、この世界の真実を知る資格を持つ。」
トラカワ「……いや、だからその“世界の真実”って何なんですか?」
カンタ王「それは……」
カンタ王「この二人のIの存在が示している。」
トラカワ「…………。」
Iくん「…………。」
もう一人のIくん「…………。」
俺たちは言葉を失った。
——どうやら、事態は俺の想像をはるかに超えているらしい。
次回、世界の真実が明らかに……!?

『沼津人妻花壇』
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