
「この二人のIの存在が示している。」
カンタ王の言葉が、重く響く。
トラカワ「……いや、どういうこと?」
Iくん「俺にもさっぱり…うん。」
もう一人のIくん(仮)は、静かに俺たちを見つめている。
だが——。
突然、そのIくんが微かに口元を歪めた。
——次の瞬間。
「遅い。」
シュッ——
空気を裂く音と共に、Iくん(仮)の姿がぶれたかと思うと、その手には一本の細剣が握られていた。
——カンタ王の喉元めがけて、一閃。
トラカワ「カンタ!!」
しかし、俺の叫びが届く前に、剣は寸分の狂いもなく王の喉元を貫いていた。
カンタ王「……貴様……」
赤い血が王の胸元を染める。カンタの目が驚愕に見開かれたまま、力なく崩れ落ちた。
トラカワ「カンタ!? 嘘だろ……!!」
Iくん「…………。」
もう一人のIくん「……さて、次は……。」
冷たい声が響く。ゆっくりと振り返るもう一人のIくん。その視線は——俺を捉えていた。
トラカワ「ま、待て……お前、本当にIくんなのか……!?」
Iくん(仮)「さあ、どうだろうな?」
その言葉と同時に、奴の姿がまたぶれた。
トラカワ「っ!」
ビュン!!
鋭い一撃が俺を襲う——しかし。
カァァァンッ!!!
眩い光と共に、俺の腰に携えていたバイブレードが自動的に抜刀し、まるで意志を持つかのように俺を守るように宙を舞った。
Iくん(仮)「……ほう、オートシールド機能か。厄介だな。」
トラカワ「……なんだってんだよ……!」
Iくん(仮)「……あまり、喋る必要もないか。」
再び姿がぶれる。まるで蜃気楼のように、何人にも増えながら、俺を囲むように姿を現す。
トラカワ「分身……!? いや、これは——!」
Iくん「分身術……。」
トラカワ「えっ?」
Iくん「俺の特技だよ……うん。」
トラカワ「……は?」
振り返ると、Iくんが何とも言えない表情で立っていた。
Iくん「俺も、分身くらいはできるよ……うん。だもんで俺じゃない……いや、元は俺かもしれないけど……。」
トラカワ「……どういうこと?」
Iくん「……説明は後だ。」
その言葉と同時に、Iくんが腰の短剣を抜く。
Iくん(仮)「ふむ……さて、どうする?」
トラカワ「クソ……! どっちにしても、戦うしかねぇ……!」
バイブレードをしっかりと握りしめる。
カンタの死を無駄にはしない。
この世界の真実を知るために——そして、生き延びるために。
戦いの火蓋が、切って落とされた——!

『沼津人妻花壇』
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