全ては、お嬢さんの何気ない一言から始まった。
「いつもブログ読んでるんですけど、
てんちょー、皐月賞は何から買うんですか?
私も競馬やってみたいんで教えてください♪」
来た。
これは男なら一番弱い攻撃。
頼られる。尊敬される。期待される。
この三連単が同時に刺さった。
そりゃそうだろう。
私が初めて獲ったデカい馬券。
それが皐月賞。
あの日、1,000円が50マソになった。
財布が膨らんだんじゃない。
夢が膨らんだんだ。
ならば今回。
このお嬢さんにも同じ景色を見せたい。
1,000円を50万に…
いや待て。
令和だぞ。
物価高だ。米も高い。ガソリンも高い。
50マソじゃ夢が弱い。
100マソだ。
今日は100マソ見せてやる。
いつも夕方出勤のお嬢さんが、
この日に限って14時出勤へ変更。
理由はただ一つ。
「一緒に競馬見たいんで♪」
よし、気合いも乗っている。
あとは私の予想だけ。
過去データ。
血統。
脚質。
展開。
中山の風。
騎手の顔色。
返し馬の気配。
そして勘。
私の競馬予想とは、
勘が8割、フィーリングと知識が1割づつでできている。
要するに直感だ泣
私は静かに告げた。
「これとこれを買え。
抑えでこれ。
夢を見るならここだ。」
お嬢さんは真剣な顔でメモを取る。
だが人生は、
そう簡単にドラマ通りいかない。
14時。
お嬢さんに予約が入った。
「あ~みたかったな」と言いながら
馬券だけ買って、仕事へ向かうお嬢さん。
私は思った。
仕事して戻ったら、
笑顔でこう言うだろう。
「てんちょー!やばいです!帯です!」
しかし結果は、
絢さんのブログを見ればわかる。
そう。
見事に私の予想は外れた泣
希望も散った。
信用も少し散った。
私は考えた。
このあと、お嬢さんが帰ってくる。
そして言うだろう。
「てんちょー……これ全部ハズレてますけど?」
無理だ。
耐えられない。
耐えられるわけがない泣
私は逃げた。
人は負けた時、二種類に分かれる。
反省する者。
そして現実逃避する者。
私は後者。
車を走らせた。
向かった先はもちろんパチ屋泣
お嬢さんに会わせる顔がないが1割。
残りの9割は自らの負債を取り戻すのが目的だ泣



