どん兵衛で元祖の味を再現したものが販売されています。カップ麺の進化はすごいものがありますが、進化して、進化して、いきつくところまで行った時に「原点の味も良かったよね」なんて言うこと、開発者からすれば「ふざけるな」となるところでしょうが食べ物の世界では結構あります。身近なところで言うと「塩」。海水から不純物を取り除くのはかなり大変でした。研究して工夫して不純物をほぼ完全に取り除ける製法を開発しました。ただインチキして不純物が混ざったものを売る業者もいたので「国が責任もって作る」ということで国家事業で塩を作り出したら「にがりが残っている塩の方が美味しい」とか言い出して高値でにがりが残った塩が売れてます。にがりこそが頑張って取り除いてきた不純物です。砂糖もキレイで不純物がない白い砂糖を頑張って作ったら「サトウキビの成分が残っていて美味しい」なんて茶色いやつの方が高いです。すし飯もキレイな白いシャリになるように頑張ったのに昔の赤い酢飯の方が魚の味を生かすなんて言われています。米も白米だけの米があこがれだったはずなのに雑穀米の方が高級みたいになってます。
一生懸命進化させても前のものより良くなっているとは限らないのです。開発者なんかは一生懸命進化させたのに「原点も良かった」なんて言われるとがっかりしますが、進化って前より良いとは限りません。前のものは前、新しいものは新しいもの、選択肢を広げられた、と考えなければ虚しさを感じてしまうでしょう。研究や開発に携わる人がモチベーションがなくなってしまう原因に「原点も良かった」なんて言われることがありますが、進化というのは選択肢を広げているだけで前のものを否定することではない、と思ったら心に余裕ができます。開発している人はより良いものを作っている気だけど、孫悟空がお釈迦様の手の中で人差し指から中指に飛んだだけだった、みたいなことはよくあります。それで人差し指と中指どっちが良いですか、と言っているのと同じです。指が2本に増えて良かったと考えれば楽なことです。どん兵衛の元祖版を食べて、美味しいけど、頑張って今日まで開発してきた人は今このように元祖が売られて「けっこう美味しいじゃないか」と言われていることに複雑な思いを抱いているだろうな、と思い、どん兵衛の開発者がこのブログを読むのかどうかは知りませんがエールを送る意味で書いておきました。選択肢を増やしてくれてありがとうございます。ちなみに私はどん兵衛の茶色い肉うどんが好きです(笑)。



